超高圧物性
私達の研究室では「強電子相関物質」といって、今までの固体物理学の知識ではとうてい説明が出来ないような、変わった磁気的な性質や不思議な超伝導を示す物質にメチャンコ高い圧力を加えてメチャ低い温度に冷やしたり、強い磁場をかけたりしてこの物質の持つ不思議な性質について調べています。メチャ高い圧力を加えたり、温度をメチャ低くくすると、私達が住んでいる世界(常温・常圧)ではとうてい想像もできない様な面白い性質を引き出すことができます。例えば、ある種類の物質を冷やしていけば、ある温度から突然、電気抵抗が零になったり(超伝導)、外から加えた磁場に反応したり、物質自身が磁石になったりします(磁気転移あるいは磁気秩序、もしくは磁気的な性質を示すという)。更に、高い圧力を加えた場合、磁気秩序が抑えられて超伝導が現われたり、磁気的な性質と超伝導とが共存したり、また、電気を全く通さない絶縁体が電気を良く通す金属になって、ある物質では超伝導を示すようになるなど、常温・常圧の世界では考えることもできない一層、不思議で変わった特徴を引き出すことができるんだよな〜。これに強い磁場をかけると、もっとおもしろくなることは簡単に想像できるよネ!!。この様にきわめて高い圧力を加え、メチャ低い温度に冷やしたり、強い磁場をかけたりして、物質を極限に近い環境にさらすと、私達が住んでいる世界では勿体ぶって見せなかった本当の性質を垣間見ることができるのです。ちなみに水に高い圧力を加えると室温で氷になってしまウンダゾー。さて、この氷は冷たいか冷たくないかどちらでしょうか?。
超高圧物性研究室の目玉の高圧装置はダイヤモンドアンビルセルというものです。これは宝石として使われるダイヤモンドを2つ対向させ、それらの間に小さな穴を開けた金属製のガスケットを挟み込み、2つのダイヤに力を加えることてガスケット内の圧力室にメチャ高い圧力を発生させるという装置です。中に入れる試料(物質)がメチャンコ小さいために、これにリード線をつないだり、圧力室に入れたりする操作は素手では不可能で、バイオテクノロジーの分野で受精卵を分割したり、細胞を操作するのに使われるマイクロマニピュレータという精密装置を使かって顕微鏡下できわめて精密に行なうのだゾ。ドウダ、恐れ入ったか!!。
以上、述べてきたように物質に高い圧力を加えたり、温度を低くしたりすることは、それを取り巻く環境を自在に変えること、即ち、その物質の状態を意のままに変化させることに他ならないのダ。この様に、状態を変化させることで日常では体験出来ない不思議な現象を実際に味わってもらう為、下に示した幾つかの簡単な実験を用意してみタゾ。味わって楽しんでみよう!!。低温と磁場のおりなす世界を堪能してみてケロ。
但し、今回は超高圧物性研究室の目玉である圧力に関するデモンストレーションは行ないません。圧力はある程度の危険が伴うことと、実際に目で見て現象を味わってもらうことは非常に難しいからです。これに関しては先ほど述べたダイヤモンドアンビルセルという高圧装置を用いての実験を計画中です。2〜3年後にでも来てもらえば、室温の氷が見られるかもしれないゾ。
そにょ1. あらら不思議、滴り落ちる低温液体の雫
銅でできた円錐容器が二つ用意してあるゾ。一方にはゼロ度の氷水を、他方にはマイナス196度の液体チッソが入れてある。しばらくすると円錐容器の外壁になにやら液体が凝結し始め、尖った底からポタポタと落ち始めるゾ。さ〜て、その雫を線香にたらしてミヨウ。果たして君はどちらの液体で火を消せるかな。小さなガラスシャーレに液体を溜めてその色を見てみよう。どんな色をしているのかナ〜。小型で強力な永久磁石を近づけてみよう。果たしてどうなるかな〜。
そにょ2. え〜 ウッソ〜一円玉が磁石で動かせるなんて〜。
キミ等も一円玉が磁石にクッかないことは知っているよナー
ここでは2つの実験を用意しているゾ。
そにょ2 a)
透明なセルロイドの下敷きの上面に一円玉を置く。下敷の底に磁石をくっつけて先ずはゆっくりソロリ、ソロリと動かしてみよう。その次に早くセカセカと動かしてミヨウ。さ〜てどうなるかナ〜。磁石のN極とS極とを変えたらどうなるのかナ〜。
そにょ2 b)
底が浅くて広い容器に水が張ってある。水面にソット一円玉を浮かべ、なるべく一円玉の端っこに磁石を近付けて動かしてみよう。N極とS極とを変えてやったらどうなるのかナ〜。お〜 スゲ〜。え〜 ウッソ〜本当にこんなことになるノ〜。ってことになるか否かは実際にお試しアレ。
a)と b)とは根本的にメカニズムが異なっている。さ〜て、どうしても知りたいご仁は当日、会場て待機しているムクツケキおっさん風の学生、本当のオッサン、優しそうでも本当はメチャ恐いオネーサン風の学生などに聞いてオクンナマシ。
そにょ3. バーナーで焙れば落ちる磁石かな
鉄板に永久磁石が貼り付いてオル。それをバーナーで焙ってみよう。さ〜てどうなるか。完全に冷えた段階でもう一度鉄板に近付けみよう。果たして再度くっつくか?。
そにょ4. 力自慢の君に捧ぐ
君は世界最強の永久磁石を引き離すことができるか!!。鉄板に貼り付いている永久磁石、もしくは永久磁石どうしを引き離してみよう。
一応、予定しているのは上記の4テーマですが、当日は都合上、実演できないテーマが有ることも充分予想されますので、その折りはゴメンシテケロ!!。
それでは君らの挑戦をまっているゾ。